「伝わる」とはなにか?
<要約>
このブログのメインコンセプト「伝わる」を解説します。
その要諦は、「語る内容の魅力性によって受け手の興味を誘発させること」。
説得の語法ではなく、「楽しいからおいでよ」という新しい世界へのお誘いの語法です。
「伝わる」とはなにか?
みなさん、こんにちは。
ここではこのブログがなにを語り、なにを目指しているかを簡単に説明します。
このブログのコンセプトは「伝わるとはなにか、を考える」ことです。
院生時代から収集してきた人文・社会科学的な知見と、現役コピーライターとしての現場経験から、「伝わる」ということを考えていきたいと思います。
なぜ「伝える」ではなく「伝わる」なのか?
それは日本中、とくにビジネス界にはびこる「説得の語法」から逃れるためです。
ロジカルでデータオリエンテッドなことば、一分の隙もなく整理されたことば。
こうした論理的説得は大切ですが、それだけでは、人はけっして、動かない。
どれだけ徹底的に追い詰めて論駁したところで、いやいや服従することはあっても、本心が動くことはない。
こういうのはもう止めたほうがいいと思う。
魅力的なことを、魅力的に語ること。
そうすることで受け手に自発的な興味や好奇心を促し、賛同者を集めていく。
大切なのは、そのことばが受け手に聴き届けられ、そこから何かが始まること。
それこそが受け手を主軸に捉えた「伝わる」ことばなのです。
そして、
きたる本格的な「ネット社会」の理想的な姿はそういうものじゃないかと、私は思います。
魅力性において勝ることとは
では「魅力的なこと」とはどういうことだろう?
見田宗介の冷戦分析は、これを考えるうえで補助線になる。
みていこう。
湾岸戦争によるアメリカの圧倒的な勝利は、「中東の怨念」として911ほかの終わりなきテロリズムを引き起こした。
勝者は、敗者の恨みを買うものだ。
しかし冷戦においてアメリカはソ連に恨まれることはなかった。ソ連の敗残者から報復テロを企てられることもなかった。
なぜか?
それは「正しい勝ち方をしたから」だと見田は答える。
それはアメリカが冷戦を軍事力で勝ったのではないからです。アメリカと西ヨーロッパは、その情報と消費の水準と、なによりその「自由な社会」であることの魅力性において、冷戦の対手を圧倒したのです。(135)
「自由な社会」であることの魅力性において圧倒する。
この点においてアメリカは理想の「勝ち方」をした。
だからこそ、東側諸国は「自ら」の意志で独立という運動へ動いた。屈服や服従ではなく、自発的動きとして「自由な社会」は勝利したのである。
これは「ことば」においても言える。
私たちはついついデータやロジックといった軍事力で他者をやり込めようしてしまう。しかしそれは一見「勝利」に見えたとしても、長い「怨念」との戦いの始まりにすぎない。
よくある討論番組をみれば、その不毛な戦いぶりが実感できるだろう。
正しい勝ち方は、「魅力性において勝ること」。
そのときの語り方は、けっして説得ではないし、「伝える」技術ではない。
そうではなく、「楽しいからおいでよ」という新しい世界へのお誘いなのである。
キング牧師が「差別のない未来の夢」を語ったように。
スティーブ・ジョブズが歴史的イノベーターに託して「think different」であることを賞賛したように。
では、この「伝わることば」とは一体なにか?
いかにして語ることができるか?
このブログではこのことに焦点を絞って発信していきます。